* * *
(カブハヤ3つ。ゲンハヤ前提のハブハヤが特に萌)

無い物ねだりは承知の上
だから我慢はしませんよ
あの男にしか開かぬ心を 僕が直ぐにほだして見せます

*

「・・・放しなさい」

「嫌です」

「何を・・・っ」

「だって逃げてしまうでしょう。木の葉へ」

「当たり前です!」

「そんなことさせない」

 

*

「意外、ですね?僕はてっきりあなたは木の葉に忠義を尽くしているものかと」

「あそこは」

「あそこは?」

「・ ・ ・ とても優しい檻 でした」

 

やさしく、穏やかな、懐かしむように、少し哀しそうに 
そう言ったその口調は静か。

ああ

この人は虚ろだ

その周りすら巻き込んでしまいそうな虚無 に

僕はもう 引きずり込まれたのかも知れない

 

* * *
(ここからずっとゲンハヤのターン!)

はて昼の月を病めると形容したのは誰だったろう(割と有名な詩人かなにかだったと思う)

空の青に漂う脆弱な姿は確かにくらげにも似ている気がする

・・・君は時に酷く淡い、あの月のようだ

* * *

最後の言葉なんて忘れちゃったよ
(嘘だねほんとは覚えてるくせに)

だって本当に小さな声で呟いたんだから
(でもそれでも君の声だけは聞き逃さなかったろ)

あああの時君はなんと言ったっけ
(君は僕以外には決して言わない言葉を僕にくれたんだ)
(照れくさくて僕は聞こえてないふりしたけど)

君は変わらず笑ってた

* * *

珍しく君から抱きしめてきた
俺はおどけるように笑ってキスしてどうしたんだと優しく聞いたら
「疲れてますね」と呟いた
君がつらい顔しなくてもいいのに
俺は苦笑して抱きしめかえした 確かに腕も脚も鉛のように重いけど、
心は最高に温かだった

帰りを待っていてくれる、ひと。
君の存在でこんなにも安らかだ

まだ不安げに俺を気遣う
大好きな君を抱きしめたまま今日は眠ろう

* * *

捕らわれたのは自分?まさか
私が固執するなんて有り得ないでしょう
己の命すら取るに足らない消耗品だと感じているのに
『でも、そうだとしたら?』

・・・どうもしない
どうせ

ただの気まぐれだ

(こんな想いは、初めてで)

束の間の嵐みたいなき気の迷いだ

(否定するしか)

こんな・・・気持ちが私の中に

(術がない、そして想いからも)

 

あるわけがないのだ

 

(逃げる、術がない)

* * *

出来ることなら

ずっと傍に

ずっとあなたと

並んで歩んでいたかった

 

愛しています。

この身が滅びても。いつかあなたが他の誰かを愛しても。

ずっと  変わらず

 

あなたは 忘れても良いんですよ

辛い思い出ならば、背負わなくても

 

・・・でも、でも。

もしも、辛くとも、その荷を 抱いてくれると言うなら。

離さずに、生きてくれると言うなら。

 

・・・ああ

 

愛しています。

 

この世の誰より

あなたのことを

 

 

今も、ずっと

 

* **

弱音を吐いた

どろどろした感情が溢れ出して

ああ正に

弱音は「吐く」ものなんだ、なんて

頭のどこかで

* * *

こんなに苦しい思いをするなら

辛くとも気付かないほうが良かった

光なんて要らない

 

* * *

眠いんです、とっても。

今すぐ意識を手放したいんですね。

でも変に神経が尖ってしまって

やっと眠ったと思ったら悪夢で目が覚めるんです

 

あなたが傍にいる時は

不思議なくらいよく眠れるんですがねぇ・・・

 

* * *

誰もこいつのこんなカオ知らない

俺だけに晒す無防備な表情

見せつけられる度 ざわつく胸に

余裕ねえな、って笑う

 

* * *

もしもなんて仮定は嫌いだけど貴方に聞きたいことが一つだけある自分に
聞かれたら答えられないものを押しつけるようで申し訳ないけどどうしても
聞いてみたいんです貴方の答えが聞きたいんですもしも私がいなくなったら

貴方は泣いてくれますか

それとも忘れてくれますか

* * *

「今日は珍しく積極的じゃねえの」

「寒いんですよ。・・・甘えたくなった、と言ったら?」

「・・・っ///・・・がきんちょが」

「まだガキですから」

* * *

「ハヤテ」

「呼ばないで下さい」

「ハヤテ」

「呼ばれることすらおぞましいんですよ」

「ハヤテ」

「言うな」

「ハヤテ」

「・・・聞きたくない」

 

貴方が私を呼ぶ声、なんて。

* * *

「13s差か・・・」

「いいじゃないですか、貴方は筋肉で重いんですから」

「お前は軽いよな」

「・・・嫌味ですか」

「ま、ごっつい相手相手はゴメンだし?」

「・・・抱き心地を求めるなら女性にどうぞ」

* * *

愛のカタチなんて人それぞれ

たった一つに定義しようってほうが無謀ってもんだ たとえば

湖面に浮かぶ蓮の花みたいな清い愛もあるだろうさ

でもよ

その下の汚泥の中にだって確かに愛はあるんだぜ?

それがどんなに汚れたもんでも。

歪んで歪んで捻れきっても。

愛はどうごまかしても愛だ

どう自分をごまかしても愛だ。

* * *

煌々と輝く月の下。

赤い血しぶき。傾き倒れる己の身体。

 

 

ああ

 

裁きを下すのは、貴方がよかった。なんて・・・

きっと   私は

 

 

閉じられた眼から流れた涙は

つうと 頬を濡らしたきり。

 

・・・溢れなかった

 

 

・・・・・・・

 

 

冷たい身体に、乾くことなく

それ は彼の眼にふれる。

 

彼は拳をにぎりしめ

とても悲しい、優しい眼をして。

 

「 ・ ・ ・ よく、頑張ったな 」

 

 

掠れた声で  震える指で

 

そっと、拭った。

 

 

 

 

綺麗な綺麗な  涙  だった。

* * *

貴方は誰?

月光ハヤテ

私は月光ハヤテです

私も月光ハヤテです

そんなこと有り得ない

でも事実私は貴方だ

・・・貴方が私なら・・・

はい、貴方の悩みも知っています

ならばこの得体の知れない思いの正体も?

言ったでしょう。私は貴方です。貴方にわからないことは私にもわからない、確かなのは

 

・・・彼が。どうやらどういう訳か、あの人が。私たちの不可解の原因だと云うことです

 

・・・知らなかった

いいえ貴方は知っていた。気付かないふりを していただけで

貴方はなんでもお見通しですね

私は貴方ですから・・・ああ、やっと笑ってくれましたね

え?

貴方は私。私は貴方。貴方が哀しむのは・・・なにより辛い。

自分で自分を慰めるのですか?

そうれすね。でも、こうして影が二つある以上 今口を開いて話しているのはきっと私に違いありません

また、会えますか?私は、貴方と。

どうでしょう。私は貴方の中に居るのかも知れないし、私の中に貴方が居るのかも知れない。
存在する時間が違うのかも知れませんし、次元が異なるのかも知れません

はは、本当に理屈っぽいんですね?まるで私だ

ええ、私は貴方ですから。

 

ありがとうございました

こちらこそ、ありがとうございました

またいつか、月光ハヤテ

またどこかで、月光ハヤテ

* * *

愛し方を知らない。甘え方を知らない。
私は呆れる程にからっぽだった。
頑なに拒んだのは
変わることが何より恐ろしかったから。
自覚したく無かった。
認めたく無かった。
伸ばされた手の・・・温もりを

* * *

どんなに壁を高くしても
貴方はやすやすと乗り越えてしまう
貴方にプライバシーの侵害なんて言葉は意味がないんでしょうね

振り回さないで下さい そんな台詞で
惑わせないで下さい そんな表情で

・・・錯覚してしまう

こんな気持ちは知らない

こんな不可解な 自分に不釣り合いな気持ちは 知らない

貴方は知っているのでしょうか?

その声が忘れられない
その腕が振り払えない。
私はどうしてしまったんでしょうか

拒むことしかできない
不器用な私には
貴方は優しすぎるんですだから

 

ああ

 

上手く  言葉にできない

* * *

どうやってこの思いを伝えれば良い?

この自分ではどうにもならない思いを どうやって

俺が気付かないで終わればそれが一番良かった
お前にとって多少なりとも信頼の置ける関係から降って湧いたこの事実

言えばお前は傷つくだろうか?

そして俺を嫌うだろうか?

・・・わからない

こんな気持ちは初めてだ

初めて俺は苛つくほど人を好きになった

 

考えるのは

細い手首 白い肌
憂いを帯びた横顔だとか
闇を飲み込んだような瞳だとか

見逃してしまいそうにちいさな 不器用な微笑

気付けばお前のことばかり

その肌を俺に寄せて
その瞳に俺を映して
腕の中で 微笑ってくれたなら・・・

願望は、願いは尽きなくて

苦笑する   きっと俺は

お前の全てが欲しいのだ

 

* * *

寝ぼけ眼を擦りながら  あくびの代わりに君の名を呼ぶ

* * *

愛しているとそういうと
いつも君は少し悲しそうに笑う
微かに、本当に微かにだけど
そんな君を見るたび僕は君が遠くへ行ってしまいそうで不安になるんだ

* * *

失って気付く。

白い肌とか

俺を映した瞳とか

闇夜に翻った髪や切っ先・・・鋭い眼差し

俺を呼ぶ声

優しい、君

 

まだ時間はいくらでも有ったはずで気付くのはもっと先の未来で
ふと自然に・・・身に染みるものだと     根拠もなしに思ってた

なのになのに君の未来はぶっつり切れて俺は一人道を進んでる

まだ気付きたくなかった

いつか自然に思い知りたいと願ってた

胸に根付いたぬくもり

君の大切さを

 

こんなにも不完全な形で

中途半端に終わるなんて 思ってもみなかったんだ・・・・俺たちは忍なのに

覚悟なんて出来てなかっただって死んだのは君なんだろ?

 

・・・何もしてやれなくてほんとにすまなくて墓石の前で泣いた
独りにしてごめんな辛かったろうに駆けつけてやれなくて

たくさん傷つけた
こんな俺でごめんな
こんな俺を愛してくれてありがとう

愛しい名前が口から漏れた 答えるひとはもう隣にいないけど

いつか

君に追いついたとき胸を張れるように、生きるよ

この路を意地でも

走り抜けてやろうじゃないか

 

愛しいひと。

思い出を抱きしめたまま

強く俺は生きよう。

君の分までたくさん笑って

 

いつか、待ちくたびれた君の背中を

 

また強く強く だきしめるよ

* * *

夜が明けた

光の中に君がいる

わらう・・・君がいる

* * *

何が望みです
躰ですか心ですかそれとも
そんなものでいいんですか?つくづく変わった人だ
差し上げますよ いくらだって
すきですよ、愛しています

…ほんとにそれだけでいいんですか?
なに、だらしない顔してるんです

* * *

なぜこんなからだを求めるのか甚だ理解できませんと言ったらあたたはお前だからだと笑った
その言葉に泣きたくなってでも言わなくてはいけないとおもって私は
すきです と あなたにやっと聞こえるだけの声で言った

* * *

「私はきっと置いていきますよ」

あなたは。

「なら先に行って待っててくれよな」

顔を歪めた私をなだめるようにささやいた

* * *

届かない距離が良いんです
そのままでいてください

伸ばした手が空を掴む、それくらい遠いほうがいいんです
私の馬鹿げた呟きが聞こえない位置で

…でも、呼んだら気付くくらいの

あなたの笑顔が確認できるくらいの距離で、いたい

* * *

「結局私たちは平行線なんですよ」

「はあ?」

「線は交わることなんてないでしょう、一生」

「…」

そう、たとえいくら想いあっても。いくら肌を重ねても。
私たちの道は重ならないし、けして溶け合うことも、ない。

「でもね、それでいいんです」

交わらずとも、離れていかないなら。
近くで寄り添っていてくれるというなら。

「平行線だって、悪くないんですね」

 

* * *

助けて
(呼ぶ名がないから誰も来ない)
(当たり前だ)

助けて
(それでも呟くのか、私は)
(もうあきらめているくせに)

助けて
(無駄、声の無駄)
(ほら闇に吸い込まれてく)

助けて…
(今 誰かの声がした)
(まさか)

(でも 今確かに)
(あの声は)


ゲンマ、さん


(助けて)


助けて

* * *

・・・カラスの、羽音。

 

しかし、間際に無駄に猶予があるというのも考えものですね。
なんとかしようとしても失血で腕も何も動かない状態で、死を待つしかないというのは。
いっそ即死か気絶でもすればよかったんですが。半端にしぶとい自分に呆れます。


けれどもあいにく最期の言葉なんて持ち合わせておりませんで。


いえ、もしあったって言いませんけどね。喉から血が出るだけでしょう。
聞かせる相手がわらう月と鳴くカラスっていうのもいけ好かないですし
でも心で呟くだけならいいですかね、それくらいのわがままは赦されるんでしょうかね。

 

アナタガスキデシタ。

* * *

またいっしょに
ここに来ましょうね。

やわらかい風が  吹きつけて

やっぱりおだやかに  君はわらって

 

しあわせだな


って

思った。

 

あたたかい日。隣にいる君。

 

それだけでもう  しあわせだった。

* * *

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