桔梗城から 最後のカラスが飛び立った。

 

 

残ったのは

 

 

・・・ずっと 一緒にいてくれるって言ったじゃねえかよ
傍にいるって  笑ったじゃねえかよ

なんだよ
嘘つくなよ

柄にもなく安心してたんだぞ
あんまり優しく笑うから

・・・一人になんてしないでくれ
こんな情けねえ顔してる俺を嗜めてくれよ!いつもみたいに 抱きしめてくれ、よ・・・っ!
お前の声が聞こえない
お前がいないのに

なのになんで世界はこんなに変わらず回ってる?最初からいないみたいだ

 

お前のアパートは引き払われたよ

私物も全部燃やされた

お前そっくりのあの刀だけは 月光の家に引き取られたけど

もうお前の生きてた証拠は この薄っぺらい碑石だけ。でもこれすら

いつか擦り減って読めなくなる日がくる

 

置いていったものが手に触れられないものなら
お前は俺に何を残していっちまったんだ?
思い出すだけで狂いそうなくらい胸が締めつけられる
二人で笑ってた日々
咳や笑うときの気配。泣きたくなる程覚えてるのに

もうどこにも感じない

探しても。探しても。・・・どこにも。


記憶の中にしか、いないんだよ

 

最後に会ったのは前夜で
お前は改まって、あの言葉を口にして。
馬鹿みたいに俺ははしゃいで。

お前もはにかむようにわらって。

変わらなく温かな明日を俺は信じてたのに
それともお前は気づいてたのか?
だからあんなこといったのか?

 

・・・馬鹿

 

そう思ってたなら

お前もそう思ってくれてたなら  一人でなんていくなよ


お前馬鹿・・・ほんと、馬鹿

 

 

 

大好きだ

 

 

『えー・・・ゲンマさん』
『んー?』

『・・・あー、ゴホッ。・・・なんでもないです』
『なんだよ?すっげえ気になる。言えよ』
『改めて言うことでもないんですけどね・・・』
『だから言ってみ?』

 

 

 

『  ごほ・・・。大好きです、よ  』