切ないんです。
あなたが隣にいると、息が詰まって仕方ない
笑いかけられれば、あまつ名前を呼ばれようものなら
たしかにこの心臓は脈打つことを放棄するのだ
けれどよくよく考えてみればあなたの行動に別段おかしなところが在るわけでもなく
至って普通。そう、普通極まりないのに
はたと気付く。
…普通でないのは私のほうか、と。
嗚呼責任転嫁も甚だしい、今まで何かにつけてあなたに原因があるものと目をこらしていた
勝手に意識して狼狽えているだけではないか
あなたの声がいけないんじゃない、それにいちいち震える私が悪いのだ
あなたの笑顔がいけないんじゃない、見るたび頭の中が真っ白になる私が悪いのだ
そうか
私は、恋をしているらしい。
あなたという、お互いによくわかりもしない男に
どうも私は、惚れてるらしい。
「・・・参りましたね」
思いの外呟きが弱々しくて苦笑する
切ないんです。
気付かなかった時より、ずっと。
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2006/7/19